事実は現場に有るという見解の差 〜数値と感性を融合させ、共に人間性を高める〜

市川直樹

「事実は常に現場にある」 これはビジネスにおける鉄則ですが、実は同じ現場に立って同じ事象を見ていても、人によって「事実の捉え方」には大きな差が生まれます。

その代表的なものが、「理系的アプローチ」と「文系的アプローチ」による見解の差です。

◯理系の数値を通した現場での見解 客観的なデータをベースに現場を捉える視点です。来客数、待ち時間、エラーの発生率、利益率など、「数値化された事実」を通して現場を見つめます。感情に流されず、論理的にボトルネックを発見し、再現性のある改善策を導き出すことに長けています。

◯文系の感性・直感を軸にした見解 人の感情や場の空気をベースに現場を捉える視点です。お客様のちょっとした表情の変化、スタッフの声のトーン、現場の雰囲気など、数値には表れない「定性的な事実」を直感的に察知します。人に寄り添い、ホスピタリティの向上や、チームの心のケアに長けています。

現場では時として、この二つの見解が衝突します。 「数字ばかり見て人の気持ちをわかっていない」と感性が反発し、「感覚だけで話していては根本的な解決にならない」と論理が指摘する。しかし、どちらの「事実」も現場に存在する真実であり、どちらか片方だけでは現場の全体像を捉えることはできません。

◯双方個々の能力と人間性を高める 大切なのは、この「見解の差」を対立ではなく、補完関係として捉えることです。

数値(客観)と感性(主観)が両輪となって初めて、真の現場の姿が見えてきます。そのためには、双方が互いの視点に敬意を払い、歩み寄る努力が不可欠です。

数値を重んじる人は、そこに隠された「人の感情」に寄り添う感性を磨くこと。 感性を重んじる人は、自らの直感を「データや論理」で周囲に説明する力を養うこと。

自分にない視点を素直に受け入れ、相手をリスペクトする。そうして個々の能力と「人間性」を高め合い、融合させていくことこそが、現場力を最大化し、組織を劇的に成長させる鍵となります。

現場にある「事実」は一つでも、それを照らす光は複数あります。数字と心、両方の視点を大切にできる豊かな組織を共に創り上げていきましょう。

コメント